デザインが本業であるHIRUMA MASAOによるジャケットは2人の黒人タップダンサーの踊っている写真があしらわれているが、中身は純然たるテクノ系音楽。アルバムタイトルApres-Midiは仏語で"午後のコーヒー"を意味する。テクの系といってもハードELECTRO系ではなく、なんとも云えぬのんびりしたような曲が続く。限りなくイージーリスニングを目指したような感じだ。そのアクのなさというのは、ライナーノーツにおそらくコピーと書かれている"Put a liitle fun in your day!"にぴったり。まさしく「あなたにステキなひと時を」なのである。
A面の5曲はボーカルものでB面の5曲はインストルメンタルである。ボーカルは細野風のSLEEPYな声で歌われる。本当に聞き流すという感じの曲だが、なかなかこれが気持ちいいのだ。『YEN卒業記念アルバム』(85)でTESTPATTERNの曲として収録されているのはA面のラストの「Modern Living」。これを初めて聴いた時は、正直つまらないと思ったりもしたのだが、このアルバムで通して聴くとそれなりに味があっていいのだ。アルバムは曲の構成が命だったりするし、そういう意味では一曲だけを抜き出すと曲の善し悪しが判り難いということがあるかもしれない。
B面の一曲目の「Ring Dance」という曲があたしにとってはかなりインパクトがあった。フレーズを繰り返すミニマルミュージックなのだが、リズミカルな音楽の中に音響的な編曲はすでに始まっていた。HOSONOの編曲もベストワークだ。
すばらしい作品で何度きいても新しい発見のあるMASTER PIECEこれまでに聴いたことのない曲で新鮮だ。リリースから20数年が既に経っているが、まったく時代を感じさせない。タイトルとおり、午後をゆっくり過ごそうという時には、おそらく頻繁にかけることになろうかと思われる。ちなみにTESTPATTERNがリリースしたアルバムは残念なことに、この一枚だけである。 フレンチポップのリスナーにもお薦めできます。古くてあたらしい音楽。 |